魔女の宅急便 13歳のキキの性格と成長をトンボとの会話から考察

スタジオジブリ作品の『魔女の宅急便』。

この作品は宮崎駿監督の作品で、『となりのトトロ』に続く4作目になります。

『魔女の宅急便』の主人公は13歳の女の子キキです。

ストーリー全体を通してキキの成長を描いてます。

キキは思春期の女の子、しかも13歳という非常にデリケートな時期に焦点を当てているのが特徴です。

女の子の成長そのものを描いているという点では『千と千尋の神隠し』と共通してます。

なので、『魔女宅』はテイストは違うものの『千と千尋』の先駆けと言っても良いかもしれません。

(『千と千尋の神隠し』については『ジブリ総選挙で1位獲得!興行収入1位の千と千尋の神隠しまとめ』を御覧ください。)

そんなわけで、今回は『魔女の宅急便』のキキについて書いていこうと思います。

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トンボとのセリフのやり取りから分かるキキの性格

最初のほうでは、キキはとても勢いがあり前向きで積極的な女の子として描かれています。

しかしその反面、プライドが高く自信過剰であるように見えます。

キキが初めてトンボと出会ったときの会話を思い出してみましょう。

トンボ
「うまくいっただろう?ドロボーって言ったの僕なんだぜ。

君 魔女だろう? 飛んでるとこ見たよ。

ホントにホウキで飛ぶんだね。そのホウキ 見せてくれない?

(中略)

頼むよ!ねっ、いいだろう?」

キキ
「助けてくれてありがとう!でも助けてって言った覚えはないわ!

それに紹介もされていないのに、女性に声をかけるなんて失礼よ!」

出典元:宮崎駿監督、「魔女の宅急便」、スタジオジブリ、1989年

さて、いかがでしょうか。

話しかけてきたトンボに対してキキの対応は取り付く島もないと言った感じです。

まるでドラクエ7のマリベルに匹敵するほどのツンツン具合です。

キキは警察官に咎められていました。

『署まで同行願おうか』となった可能性もあるでしょうし、下手したら自宅まで強制送還されてたかもしれません。

そんなキキをトンボは「ドロボー!」と叫んで警官の気をそらし助けたわけです。

キキにとっては救いの手であったわけですが、そんなトンボに対してひどく攻撃的な対応をしたわけです。

このことから僕はキキはプライドが高く自信過剰であると感じたのです。

プライドの高さは13歳らしさの表れ

キキのトンボへの対応は、無礼な対応と言えます。

確かに、初登場時のトンボは軽い感じのナンパ男に見えなくもありません。

しかし例えどんな相手であれ、感謝をするのが常識的対応でしょうし、そもそも人を外見だけで判断するのはよろしくないでしょう。

その点『千と千尋の神隠し』の千尋の方が大人といえるかもしれません。

というのも千尋は未熟な部分があるにせよ、人に対する差別意識はないと思われるからです。

それについては『正体は龍で琥珀川のハクへのセリフから分かる千尋の性格、それは?』の記事を御覧ください。

さて、話を戻します。

恐らくキキはトンボに対してこのように思ってたのでしょう。

「なんで私がこんなチャラ男に助けられなくちゃならないの!!」

自分はチャラ男なんぞに声をかけられるような女ではない、という思いがあるのでしょう。

つまりキキはプライドが高く、チャラ男に助けられたというのが自分の信念的に許せなかったのだと思います。

またトンボは魔女であるキキを物珍しそうな目で見ていたのが気に食わなかったのでしょう。

自分は見世物ではない、という思いがあったのです。

魔女である自分に自信と誇りを持っていたからです。

出典元:楽天市場「1000ピース ジグソーパズル 魔女の宅急便 コリコの町が好き! (50x75cm)

以上がトンボとのセリフのやり取りから分かるキキの性格です。

これまでの宮崎アニメのヒロインたちと比べると、キキのこうした性格は欠点とも言えるでしょう。

しかし、僕はこういった欠点を持つキキは、いかにも13歳らしいなと思うのです。

10代って、けっこうこんな感じだと思うのですよ、誰でも。

表に出すか出さないかというだけで誰だって10代の頃は、なんだかんだ自分勝手な部分はあると思います。

逆に、これまでの宮崎アニメのヒロインたち、ナウシカ、シータ、サツキはそれぞれ人間的に完成されすぎているところがありました。
(宮崎アニメの他のヒロインたちについては『スタジオジブリ宮崎駿アニメ作品のヒロインまとめ』を御覧ください。)

それが彼女たちの魅力でもあるわけですが、魔女の宅急便のキキでそれをやってしまうと、『13歳で思春期の女の子の成長を描く』というのが分かりにくくなるでしょう。

さて、キキにつれない態度を取られ続けるトンボ。

しかし、どんな対応をされようともキキに親しく接しようとします。

人を悪く見ることはせず、良い意味で相手の悪意に対して鈍感な性格で、好奇心のままに動くトンボ。

普通だったら「なんだこいつ!」となって相手にしなくなるところでしょうが、トンボは粘り強くキキに声をかけるところを見ると、彼は見た目はチャラ男でも実はとても純粋な人なのだと思います。
(見た目で損してると言えます。)

このある種の鈍感さを伴った純粋さも10代らしいなと僕は思ってしまいます。

人の反応を気にせず突っ走るというのは、若い証拠と言えましょう。

トンボはキキをパーティに誘うためグーチョキパン店までやってきます。

出典元:楽天市場「魔女の宅急便 グーチョキパン店(みにちゅあーと特別企画)【MK07-02】

相変わらずキキのトンボへの対応はなかなかひどいものでしたが、招待状を見た瞬間、キキの表情は変わります。

ちょっと心が揺らいだのでしょう。

いくらプライドが高くとも、同年代の人と絡めていないのは寂しかったからでしょう。

トンボの誘いを嬉しいと思ったはずです。

しかしキキは意地を張ったままです。

直後に来た男性の宅配物を、キキは苦労しながら計りまで運ぶのを手伝おうとするトンボの申し出を顔を見ずに断ってるからです。

こういうところは非常に頑固です。

しかし、その頑固なヒロインはいかにも13歳らしく人間味があって魅力的でもあります。

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精神的ダメージによるキキの大いなる成長

『魔女の宅急便』ではキキが大きなスランプに陥ります。

キキの取り柄である『空をとぶこと』ができなくなってしまいます。

これは非常に大きなスランプなのですが、それよりも前に、キキは精神的に大ダメージを受けます。

僕はそれを第1の挫折と考えています。

キキが第1の挫折をに陥るのは次のセリフによってです。

私、このパイ キライなのよね。

出典元:宮崎駿監督、「魔女の宅急便」、スタジオジブリ、1989年

このセリフは大雨の中、老婦人の孫へニシンパイを届けに来たとき、その孫がキキへ向かって言ったセリフです。

キキは積極的な性格です。

キキは電気オーブンが故障したためニシンパイを孫へ届けるのを諦めていた老婦人に対し、「薪のオーブンを使ったらどうか?」と提案し、自ら率先して火おこしからニシンパイを焼き上げるのを手伝いました。

ニシンパイを完成させ、それを老婦人の孫に渡し、喜ぶ顔が見たかったのでしょう。

しかし実際はそうではありませんでした。

孫はびしょ濡れのキキを見て煙たがります。

そして上記のセリフを残し扉を勢い良く閉めてしまいます。

キキは大雨の中グーチョキパン店へ戻るわけですが、元気をなくし飛ぶスピードもいつもより遅いです。

僕は思いました。

キキはここへ来て初めて精神的に大ダメージを受けたのだと。

薪のオーブンを使うことを自ら提案し、ニシンパイを完成させたキキは、「頑張れば必ず結果がついてくるはず!」「自分の頑張りは絶対に人のためになるはず!」といった信念を持っていたと思います。

キキは「きっとお孫さんは喜んでくれるはず!」と期待していたのでしょう。

しかし、その期待はものの見事裏切られたのです。

キキは孫の言葉に深く傷ついたわけです。

出典元:楽天市場「ENS-500-259 魔女の宅急便 少女の時間 500ピース]

恐らく、言葉によって傷つけられた初めての経験だったのではないかと思います。

キキは思い知ったのです。

『人に冷たい態度を取ることがどれほど人を傷つけるのか』ということを。

そして、今までのトンボへの対応がどれほどひどいものだったのかも気がついたのだと思います。

キキはグーチョキパン店に戻ると、身体を拭く気力も出ずに、そのままベッドへ。次の日、風邪をこじらせます。

身体を拭かなかったのもあるでしょうが、精神的ショックによる免疫力の低下によるものでしょう。

しかし、挫折は人を成長させるものでもあります。

これまでのキキはプライドが高かったです。

トンボへのつれない対応もプライドの高さゆえです。

しかし、ニシンパイの件での精神的挫折により、そのプライドの高さに変化が起こります。

キキのトンボへの対応が変わるのです。

次のセリフを見てみましょう。

トンボ「ねえ、マジョ子さーん!」

キキ「あ!」

トンボ「散歩?」

キキ「コポリという人を探してるの。」

トンボ「それ 僕のことだよ!」

キキ「エエッ!」

トンボ「そっちへ回って、すぐ行くから!」

出典元:宮崎駿監督、「魔女の宅急便」、スタジオジブリ、1989年

これまでのキキのトンボへの対応がウソのようです。

キキはすごく素直になっています。

今までのキキだったら「話しかけないで!!」という感じで怒鳴り返してたでしょう。

ですからかなりの変化ではないでしょうか?

ドラクエ7のマリベル並みのつれない塩対応がどこへやら、という感じです。

ウソのように変化したキキ。

その理由は先程も書いたように、挫折による成長だと僕は捉えています。

それほどニシンパイの打撃は大きかったのです。

次のセリフも見てみましょう。

キキ「この前、ごめんね。待たせちゃって。」

出典元:宮崎駿監督、「魔女の宅急便」、スタジオジブリ、1989年

あれほど毛嫌いしていたトンボに対して「ごめんね」と謝っているのです。

このキキの謝罪は、単にトンボを待たせたからという理由以上に「今まで失礼な態度をとってごめんね。」という意味が含まれているように思えました。

キキにとってこの成長は非常に大きな変化です。

これまでの価値観が崩れ去るほどに。

その結果、気がついたらトンボを異性として意識せざる得ないところまで来てしまったのです。

しかし13歳キキにとって、このような精神の大きな変化は、同時に心のバランスを崩すものでもあると思います。

この直後、キキは第2の挫折『飛べなくなる』を経験することになるのですが、このきっかけを引き起こしたのが上記のようなキキの成長による心の変化だと僕は思っています。

さて、キキの第2の挫折についても気になるところですが、長くなってしまったのでそれについてはまた別の機会に書いていきますね。

キキ以外の宮崎アニメの他のヒロインたちについては『スタジオジブリ宮崎駿アニメ作品のヒロインまとめ』を御覧ください。

他の宮崎アニメについては『スタジオジブリを引退した宮崎駿作品まとめ!監督の復帰に期待!』の記事を御覧ください。

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