ナウシカ原作漫画で魅力的なクシャナ殿下が映画では残念美人の理由

※この記事では映画版『風の谷のナウシカ』について書いていますが、原作漫画版『風の谷のナウシカ』のネタバレも部分的に含みますのでご注意ください。

前回に続いてスタジオジブリ作品宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』について書いていきます。

(前回の記事は『クシャナの腕は義手ではない?ナウシカ原作漫画の殿下はかっこいい!』です。)

前回の記事ではトルメキアの皇女・クシャナについて書いてきました。

映画版『風の谷のナウシカ』では、蟲にやられたことによりクシャナは腕や足がなく義手・義足をつけています。

しかしその設定は映画版のみで、原作漫画版ではクシャナにはちゃんと手足があるということでしたね。

手足があるということだけでなく、映画版のクシャナと原作版のクシャナは性格・人間性あらゆることが全くと言ってよいほど違うということでした。

映画版のクシャナは愚かさが目立つキャラでしたが、原作漫画版のクシャナは非常に人間が出来た人物です。

とても冷静で優れた戦術を考え、部下に的確に指示を出し、不測の事態でも慌てることはなく、とにかく非常に頼もしい存在です。

常に余裕でいるところがまさに上に立つ人間に相応しい感じであります。

しかし、なぜクシャナは原作漫画版と映画版で、これほど異なるのでしょう。

確かに『風の谷のナウシカ』は原作漫画版と映画版ではストーリーなどだいぶ異なります。

より正確に言えば、映画版『ナウシカ』は原作漫画版のプロローグ部分のみを映画化したと言えます。

ですから、登場キャラクターも原作漫画版と映画版では少々異なります。

主人公のナウシカも違います。

しかし、クシャナ殿下の漫画版と映画版の違いはそんなレベルではありません。

性格の違いも他のキャラとは比べ物になりません。

原作版クシャナはまさに『能ある鷹は爪隠す』的な人ですが、映画版においては『能ある鷹』ではなく『能無し』にされてしまったのですから・・・・。

つまり残念美人キャラにされたわけです。

さらに残念美人にされたばかりでなく腕と足まで奪われているわれてしまったのです

これはもはや災難としかいう他ないのではないかと僕は思います。

なぜクシャナは映画版『ナウシカ』においての『能ある鷹』から『能無し』にされてしまったのか?

そしてなぜ映画版では腕と足を奪われてしまったのか?

そのような疑問が湧いてきます。

今回の記事ではなぜクシャナが残念美人キャラに成り下がったのかについて個人的な考察をしていきたいと思います。
(腕と足が義手・義足になった事については、別の記事で書いていく予定です)

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ナウシカの引き立て役になるためにクシャナは残念美人に?

ではまず映画版のクシャナの性格が残念な理由から。

クシャナが残念美人キャラにされた理由、それは映画の主人公ナウシカを目立たせるためではないかと僕は考えました。

つまりクシャナはナウシカのために劣化させられたということです。

ナウシカは健気で心の美しいヒロインとして描かれています。

そして健気さ美しさをさらに際立たせるために、そして確実なものにするために必要なものがあります。

それは引き立て役です。

ただ単に美しいヒロインを存在させるだけでなく、そのヒロインを引き立つための存在を投入することで、より一層美しく見えるのです。

その引き立て役に選ばれたのがクシャナだと僕は考えました。

ナウシカの引き立て役に選抜されたクシャナは、原作漫画版の優れたキャラクター性を引剥されて、代わりに『愚かさ』、『無能さ』、『残念さ』などの要素を与えられたのです。

クシャナが残念キャラ・無能キャラであればあるほど、ナウシカがよりいっそう美しいヒロインとして目立つという事です。

もしクシャナが原作漫画版のような有能キャラの場合、ナウシカの天使のような美しさ・健気さが引き立たなくなる可能性があるでしょう。

「一生懸命で健気なナウシカも良いけど、あのクシャナ殿下っていうのも魅力的だなあ・・・」

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映画製作者側は視聴者から、こんな風に思われてしまってはまずい考えたのではないでしょうか?

クシャナが輝いてしまっては、下手したらナウシカが霞む可能性もあります。

映画『風の谷のナウシカ』はナウシカが目立たなくては困ると思っていたのでしょう。

ただでさえクシャナは見た目が非常にかっこ良いキャラクターです。

ですから、劣化させるためには徹底的にダメキャラ、無能キャラとするしかなかったわけです。

そのかわり、その無能っぷりにより、ナウシカはより一層美しいヒロインとして生えたことでしょう。

つまりジブリヒロインの中で非常に人気のあるナウシカは、クシャナ劣化という多大なる犠牲の上に成り立っていると僕は考えたのです。(少々言いすぎかもしれませんが・・・)

ところで、『ナウシカ美化のためにクシャナが劣化させられた』説ですが、一応根拠がございます。

その根拠は原作漫画版におけるナウシカの悪い面が映画版ではなくなっていて、逆にクシャナが漫画版ナウシカの悪い面を演じさせているような場面があるからです。

つまり、映画版では漫画版のナウシカの悪い部分をクシャナに押し付けられているように僕は思えるのです。

そんなわけで僕は映画ではナウシカのためにクシャナは激しく劣化させられるキャラとされたと考えたのです。

人質を取るナウシカ?!

それでは、原作漫画版のナウシカの悪い部分について書いてきます。

原作漫画版2巻で、ナウシカは強行突破のため人質を取ります。

ナウシカはマニ族の兵士たちを従わせるために、マニ族僧正の首にナイフを当て次のセリフを吐きます。

動くな!!

すぐ戦闘を中止しろ!!

さもないと僧正さまの生命はないぞ!!

出典元:宮崎駿著「風の谷のナウシカ2巻」徳間書店、所収

ナウシカがこのような行動に出たのはある種仕方がなかったとはいえ、かなりの強硬手段です。

突っ走っているといえます。

ちょっと脱線しますが、ナウシカの突っ走りについても少し書きましょう。

漫画1巻でナウシカは突然風の谷にトルメキア軍がやって来ます。

ナウシカは父・ジルの命によりトルメキア軍の元へ行くわけですが、そこでナウシカは彼らの挑発にまんまと乗ってしまったのです。

最終的にユパが取りまとめてくれ、何とか収まりました。(詳細についてはここでは飛ばします。)

父・ジルはそんなナウシカの行動について次のように言いました。

ひとりで斬り込むとは軽率もはなはだしい

出典元:宮崎駿著「風の谷のナウシカ1巻」徳間書店、所収

トルメキア軍の所へ行く際、ジルはナウシカにこう言ったのです。

事の真実が明らかになるまで慎重に行動しなさい

出典元:宮崎駿著「風の谷のナウシカ1巻」徳間書店、所収

という風にです。

ところがナウシカは相手の挑発にまんまと乗ってしまったわけです。

だからジルはナウシカに対して『軽率もはなはだしい』と言ったわけですね。

さて、かなり脱線してしまいました。

話を戻します。

このように、ナウシカは突っ走る性格なのです。

マニ族僧正を人質にする件も、このナウシカの突っ走りによるものでしょう。

(漫画版では、たびたび起こるナウシカの突っ走りがストーリー展開的に面白くしているわけですが、今はそれについては触れません)

ところで、ナウシカはマニ族の僧正にナイフをあてがい『動くな!!』、とやったわけですが、実はこの僧正はナウシカにとって命の恩人でした。

ナウシカはマニ族の兵士に取り囲まれて襲われかけていましたが、僧正がそれを止めてくれたのです。

「彼女には敵意がないよ」、と言って兵士たちを止め救出してくれました。

ですがナウシカはその後、強行突破のためその恩人の僧正の首にナイフを突きつけ上記のセリフを言うわけです。(結果的にそれは良い方向に転ぶわけですが・・・・)

さて、どうでしょうか。

上記のナウシカによる人質シーン、何かに似ていると思いませんか?

僕は初めて漫画でこのシーンを読んだ時に思いました。

「これって、映画のクシャナのあのシーンみたいじゃん・・・・・」、と。

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腐海のど真ん中でピストルをぶっ放すクシャナ!

さて、映画版のそのシーンが何かといいますと、クシャナが腐海の中でナウシカたちに向ってピストルをぶっ放すシーンです。

クシャナはアスベルからの奇襲攻撃により墜落するコルベットからナウシカたちによって助けてもらったのです。

その命の恩人であるナウシカたちに向ってピストルをぶっ放すわけです。

しかも腐海のど真ん中で、、、。

先ほどのジルの言葉を借りると、まさに軽率もはなはだしい状態です。

そのシーンのセリフを載せてみます。

クシャナ
「動くな!」

ミト
「貴様・・。」

クシャナ
「先ほどはご苦労。」

城おじ
「姫様!なんでこんなやつを!」

クシャナ
「甘いな。私が這いつくばって、礼を言うとでも思ったのか?」

ナウシカ
「あなたは腐海を何もわかっていない。ここは人間の世界じゃないわ。

銃を使うだけで、何が起こるか分からないところよ。」

(中略)
クシャナ
『動くな!命令は 私が下す!』

ナウシカ
「あなたは何をおびえているの?まるで迷子のキツネリスのように。」

クシャナ
「何?」

ナウシカ
「怖がらないで。私はただあなたに、自分の国へ帰ってもらいたいだけ。」

クシャナ
「貴様!」

出典元:宮崎駿監督「風の谷のナウシカ」トップクラフト

このシーンはクシャナの器の小ささを物語っている場面と言えるでしょう。

もう何というか情けなさがにじみ出ている感じです。

『這いつくばって礼を言うとでも・・・』の下りは特にダサいです。ダサさに磨きがかかるセリフです。

こんなダサい演技をクシャナ殿下がしているとは、、、、。

漫画版の殿下の素晴らしさを知ってしまった後では、見るに堪えないシーンであります。

2つのシーンの共通点

いかがでしょうか?

上述の2つのシーン、シチュエーション的に似ていませんか?

共通点は次の3点つです。

1,武器を使って相手を思い通りにさせようとしていること。

2,その武器を向けている相手が命の恩人であるということ。

3,最初の第一声が「動くな!」、であるということ。

似ていると言うか、シチュエーション的には殆ど同じだと言って良いでしょう。
(もっとも映画版のクシャナの方は『這いつくばって・・』のセリフにより、ダサさに磨きがかかっているという些細な違いはありますが・・・・。)

明らかに漫画版と映画版のこの2つのシーンは関連性があると僕は思えますね。

そんなわけで映画版のクシャナは漫画版のナウシカのこの悪い面を受け継いだと僕は考えたのです。

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ナウシカのために『無能』に成り下がったクシャナ

映画版『風の谷のナウシカ』では徹底的にナウシカを健気で美しく心のきれいな主人公にしたと思われます。

風の谷のためにたった1人で苦難に立ち向かうナウシカ。

傷つけられた王蟲の子供を前にして涙を流すナウシカ。

そんな美しい主人公ナウシカが命の恩人にナイフを突きつけて

『動くな!』

・・・・なんてシーンを入れるわけにはいかなかったのでしょう。

ということで、そんな場面はクシャナ殿下にやってもらったというわけです。

そうすることによりクシャナ殿下は救いようのないくらいダサく見えます。

そのかわりナウシカは相対的に清く正しい主人公として映えるわけです。

本来クシャナ殿下は非常にかっこいいキャラクターです。

そのまま登場させてはナウシカが霞みます。

ですから、クシャナ殿下には『無能』なキャラとして成り下がってもらい、ただの愚かな侵略者として描かれたということなのでしょう。

そして、ナウシカには漫画版での悪い面をなくし、謂わば浄化された形で映画に登場するのです。

よってますますナウシカは天使のようになるわけです。

ナウシカとクシャナの名前はアナグラム?!

さて、映画でのナウシカのために無能キャラになってしまったクシャナですが、実は主人公ナウシカとある部分で関係性があります。

それは、2人の名前がアナグラムになっているという事です。

ナウシカとクシャナの名前をアルファベットで表記すると

・ナウシカは『Nausicaa』

・クシャナは『Cusianaa』

となっています。

主人公格のキャラクターと名前が関係しているわけですから、クシャナも重要なキャラクターと考えて良いでしょう。

クシャナとナウシカの共通点として、2人も王女であるということです。

『風の谷のナウシカ』における数少ない王女として2人の存在は目立っています。

その事については詳しくは以下の記事で書いています。
⇓    ⇓    ⇓
『ナウシカとクシャナの名前がアナグラムの理由は?2人の関係を考察』

最後に

今回は、映画版のクシャナがなぜ残念美人に成り下がってしまったのかについて書いてきました。

なぜ今回このような記事を書いたかといいますと、僕にとって漫画版のクシャナは素晴らしいキャラだからです。

映画版でのあのクシャナは見ていて辛いものがあるのです。

僕は『風の谷のナウシカ』は最初は映画版をビデオで見ていました。

小学生の頃です。

クシャナに対しては全く興味はなく、侵略してる悪い女キャラ程度の認識で何の思い入れもありませんでした。

そして中学の頃、学校の図書室で漫画版『ナウシカ』を見つけます。

出典元:楽天市場「風の谷のナウシカ (1-7巻 全巻)全巻セット

たぶん、あの映画とほとんど同じだろうと思って、読んでみたらビックリ。

「映画と全然違うじゃんか?!、なんだこの壮大なストーリーは!」

話が複雑で、中学当時の僕は全然理解できていませんでしたが、それでもあの独特な世界観にものすごく惹きこまれたのでした。

特に一番の驚きだったのがクシャナです。

映画版での無能さはかけらもなく、非常に魅力的なキャラクターとして描かれていたからです。

「クシャナってこんなすごいキャラだったの??!」

それ以来、僕はクシャナに対する印象は全く変わりました。

それと同時に、「あの映画版のクシャナは一体何なんだ?!」と思うようになりました。

いくらなんでも酷くないか?、と中学生時の僕は思いましたね。

あれからもう10年以上経ちますが、僕のその思いは全く変化ないです。

映画版のクシャナはかわいそうだと思えてならないのです。

それはただただ、僕が漫画版のクシャナを素晴らしいキャラだという思いから来ているのです。

『風の谷のナウシカ』に関しては今後も書いていく予定です。

クシャナ関連の記事は以下でまとめています。
⇓    ⇓    ⇓
『クシャナは魅力的でかっこいい!原作漫画版ナウシカの殿下のまとめ』

『風の谷のナウシカ』の他の記事は以下から御覧ください。
⇓    ⇓    ⇓
『スタジオジブリ宮崎駿作品『風の谷のナウシカ』まとめ』

他のスタジオジブリ作品については以下のバナーからどうぞ。

⇓   ⇓   ⇓

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