宮崎駿が千尋を可愛い美少女にせずブスにした理由!千と千尋 考察

千と千尋の神隠し。

宮崎駿作品の中では珍しくヒロインが美少女ではありません。

今回はそのことについて書いていっています。

今回もスタジオジブリ宮崎駿監督作品『千と千尋の神隠しに』について書いていきます。

これまで書いてきた『千と千尋の神隠し』の記事は以下からどうぞ。
⇓    ⇓    ⇓
『ジブリ総選挙で1位獲得!興行収入1位の千と千尋の神隠しまとめ』

『千と千尋の神隠し』は主人公の千尋が油屋の世界に迷い込み、そこで数々の困難を乗り越えながら成長し、最終的には元の世界へと戻るというストーリーです。

宮崎駿作品では基本的に主人公は美少女で、性格は前向き、そして積極的、しかも何らかの特殊な能力だったりスキルなりを持っています。

しかし千尋は引っ込み思案で不器用、なんの特殊な能力も持たず、そして宮崎アニメの特徴である美少女顔でもありません。

逆に千尋の相方的存在のハクは超美少年です。

前回の記事でも載せましたが、宮崎監督がハクを美少年にした理由について次のように言っています。

 ── ハクについてはいかがですか?なぜハクのような美少年を登場させたのでしょうか。

 宮崎 こういうふうにするつもりは全然なかったんです。ただ女がいれば男がいるし、男がいれば女がいる。そうやって世界ができているわけで、主人公がブスなんだから白面の美少年がいないとつまらないかなと思っただけなんです。

出典元:宮崎駿『折り返し点 1997〜2008』岩波書店より

宮崎監督によるとハクをかっこよく描いた理由は主人公の千尋がブスだからということでした。

なんともシンプルで分かりやすい理由ですね。

あまりにシンプルですから、最初はビックリしました。

しかし僕はこのシンプルな理由をもう少し突き詰めて考えてみたところ、ある考えが僕の中に浮かびました。

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ブスな千尋に対してハクを美少年にしたその真意は!?

ハクをかっこよく描いた理由、それは『主人公・千尋がブスだから』、というのが宮崎監督のコメントです。

しかし、僕はもう一歩踏み込んで次のように考えてみました。

それは『千尋がブスだからハクを美少年にした』のではなく『千尋をブスにするためにあえてハクを美少年にした』というものです。

つまり千尋にはなんとしてでもブスでいてもらいたかったということです。

順を追って説明していきます。

美少女ではない普通の女の子、千尋

さて、ここまで僕は宮崎監督の言葉を借りて『千尋=ブス』という言い方を便宜上してきていました。

しかし『ブス』という単語は侮辱的な言葉で、記事内で頻繁に使用するのはあまりよろしくないと思うので、これからは『千尋=ブス』を『千尋=美少女ではない』という感じで言い換え、極力『ブス』という単語は使わないようにしていきます。
(やむおえず部分的に使用する場合もございますことをお許し下さい。)

それでは以降『千尋を美少女ではなくするためにあえてハクを美少年にした』ということについて書いていきますが、まず『千と千尋の神隠し』がどのようなストーリーだったかを振り返ってみます。

この作品は油屋の世界に千尋が迷い込むところから始まります。

右も左も分からない千尋の目の前には様々な障害が立ちふさがりますが、千尋はも不器用ながらもそれらの困難を必死に乗り越え、そして成長していく姿を描いた作品と言えます。

出典元:楽天市場「ノンスケール スタジオジブリmini 湯婆婆と千尋(千と千尋の神隠し)【MP07-13】

けして器用ではなくどちらかと言えば要領の悪い千尋が、油屋の中で一生懸命頑張り従業員たちの信頼を得ていったり、カオナシの暴走を止めたり、最後にはハクのピンチを救えるくらい立派に成長していったわけです。

特にハクのために一生懸命頑張る千尋は見ていてメチャクチャ感動します。

「あの不器用な千尋がこんなに頑張ってるなんて・・・!自分も頑張ろう!」、という気持ちにさせてくれます。

ハクのために頑張る千尋の健気さについては以下の記事で書いています。
⇓    ⇓    ⇓
『ハクと千尋は恋の関係!別れたその後に出会いはある?千と千尋の考察』

そのけなげな姿にジーンと感動した視聴者も多くいたことでしょう。

僕もジーンときました。

さて、ここで非常に重要ポイントなのが千尋が『普通の女の子』だと言うことです。

これまでの宮崎作品に出てくるヒロインキャラは『普通の女の子』ではなく『特別な女の子』ばかり登場してきました。

ナウシカ、シータ、キキ、サンのような女の子はそれぞれ普通ではなく『特別』です。

出典元:楽天市場「ENS-108-287 もののけ姫 モロとサン 108ピース

そしてそれぞれのキャラに共通しているのは、みんな行動力がありそして美少女だということです。

美少女として描く事で、その『特別な女の子』らしさを強調していたと言えるでしょう。

しかし『千と千尋の神隠し』では主人公は『特別な女の子』ではなく『普通の女の子』です。

宮崎作品の中では珍しく『普通』です。

そして他の宮崎作品のヒロインと比べると、消極的で行動力もある方ではありません。
(しかしそんな千尋もストーリー後半では積極的で率先して行動出来る所まで成長していきます。)

どうして『普通の女の子』なの?

なぜ『普通の女の子』としたかですが、宮崎監督によると今時の子供達のリアリティを表現したかったからとのことです。

見ている子供たちが喜んでくれる、そんな作品にしたいという思いがあり、子どもたちに共感してもらうためには、リアリティのある『普通の女の子』が最適だと思ったからでしょう。

だから『千と千尋の神隠し』では、これまでの宮崎作品のヒロインとは全く違うキャラクターにしたのです。

宮崎監督のコメントを引用します。

とにかく僕は、この映画を作ろうと思った非常に大きな動機や、千尋のような主人公を作ろうと思ったきっかけを、全部その幼い友人たちからもらったものですから、その子供たちが喜んでくれたらおじさんの勝ちという気持ちで、けっこう真面目に勝負をかけたつもりでつもりでいます。

出典元:宮崎駿『折り返し点 1997〜2008』岩波書店より

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普通の女の子が成長していくのが魅力!

『千と千尋の神隠し』が公開されてからもう10年以上経つわけですが、それでも千尋からは今時の女の子感が感じられます。

10年も経過すれば、世の中は激しい変化が起きているわけですが、しかし『普通の女の子』の本質というものは10年そこらではそこまで大きく変わらないのかもしれません。

千尋は良い意味でどこにでもいそうな女の子に見えます。

そんなどこにでもいそうな『普通の女の子』が、突然見知らぬ世界に放り込まれるわけですが、このことが『千と千尋の神隠し』を非常に面白くしている点の1つでしょう。

出典元:楽天市場「ENS-300-297 千と千尋の神隠し 迎えにきたハク 300ピース

『普通の女の子』が右も左も分からない中でもがきながら成長していくのが魅力的なストーリーなのです。

もしそうではなく、これまでの宮崎作品に登場してきたような『特別な女の子』、例えばナウシカのようなキャラクターが主人公・千尋だったとしたらどうでしょうか?

出典元:楽天市場「1000ピース ジグソーパズル 風の谷のナウシカ 砂丘の風 (50x75cm)

彼女は物凄く行動力がありますから、あらゆる困難を千尋ほど苦戦せず乗り越えそうです。

恐らくそのような主人公だと見ていてあまりリアリティが感じられず、子供たちには共感されにくいものになる可能性があります。

子供たちが共感してくれるためには、または子供たちが感情移入してくれるためには、主人公・千尋は『特別』ではなく、自分たちと同じだと思ってもらわなければならないわけです。

ですから主人公の千尋は出来る限り『普通の女の子』として描く必要があったのです。

そして普通であるがゆえに、千尋は絶対に相手を容姿や能力などで判断しない性格なのだと思います。

千尋は宮崎アニメの中でもっとも純粋な心を持った主人公だと僕は思っています。

その事については以下の記事で書きました。
⇓    ⇓    ⇓
『正体は龍で琥珀川のハクへのセリフから分かる千尋の性格、それは?』

宮﨑駿監督が千尋を美少女にしなかった理由は?

宮崎監督は次のように述べています。

 ──監督は、やはり千尋のことをブスだという印象で描いているのですか?

 宮崎 いやあ、いわゆる美少女だとは思ってないです。そういうふうに描くつもりもありませんでした。この娘がこれからどうなっていくのか分からないというふうに描きたかったんです。[……]人間の顔は、途中からその人自身が作り始めるものだと思うんです。だからこそ、千尋はいわゆる美少女風の顔にしたくなかったんです。それで正解だったと思ってます。

出典元:宮崎駿『折り返し点 1997〜2008』岩波書店より

宮崎監督は人の顔はその人自身が作っていくものだと言っているわけです。

つまり、その人自身がこれからどのように成長するのかによって、今後どんな顔つきになるのか様々な可能性があるということです。

『この先どのようになるか分からない』、それがある種の魅力であるとも言えるでしょう。
宮﨑駿監督が千尋を美少女としなかった理由はこういうことです。

ナウシカのような美少女は、確かに大変魅力的なキャラクターであります。

しかしナウシカは完成されているためもう変化の余地がないとも言えます。

出典元:楽天市場「1000ピース ジグソーパズル 風の谷のナウシカ 夜明けの風 (50x75cm)

そういう意味で僕はナウシカに対しては正直言うと、あまり面白くないキャラクターだと感じています。

その事については以下の記事で書きました。
⇓    ⇓    ⇓
『ナウシカは美人でかわいいけど・・・人気ジブリヒロインへの僕の思い』

宮崎監督は『千と千尋の神隠し』の主人公・千尋は、今後どのように変化していくか分からない、だけどあえて分からないままにして無数の可能性をそこに残したかったのです。

であるからして、千尋は『美少女風の顔』ではまずかったわけです。

千尋の『普通の女の子』っぽさを絶対的なものにするためには?

ここまでしつこいくらい主人公・千尋が美少女ではない理由について細かく書いてきました。

確かに宮崎監督の狙い通り千尋はこれまでのヒロインと比べると美少女ではなく描かれていると思います。

しかし宮崎監督は千尋を普通っぽく見せるためには美少女ではなく描くだけでは不十分だと考えたのではないかと僕は思いました。

というのも宮崎監督の描くキャラクターは、どんな容姿をしていようが魅力的に見えます。

千尋の顔を『美少女風の顔』として描かなかった千尋がふとした瞬間に美少女に見えてしまう可能性は大いにあります。
(事実、僕がそう思えるシーンもありました)

しかし、それでは困るわけです。

千尋は『普通の女の子』でなければならないのです。

ちょっとでも美少女っぽく見えてしまったら、リアリティが損なわれる可能性もあるでしょう。

なんとしてでも千尋には『普通の女の子』でいてもらうために宮崎監督は次のような方法を取りました。

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千尋の『普通』さを強調するための存在、ハク

その方法とは、ハクを完璧に近いほどかっこいい存在にしてしまうということです。

ここまで来てようやくこの記事の最初の方で提示した『千尋を美少女ではなくするためにあえてハクを美少年にした』ということに話が繋がります。

『壁ドンするハクはイケメンでかっこいいけど千尋はブスで可愛くない!』の記事でも書きましたが、ハクは完璧に近いほどのかっこよさを持つ美少年です。

出典元:楽天市場「千と千尋の神隠し A5クリアファイル 名場面シリーズ またいつかきっと

顔、行動、性格、佇まい、何を持っても完璧です。

ハクはナウシカの男バージョンとも言えるでしょう。或いはこれまでの宮崎監督のヒロインキャラが持っていた要素をハクにつぎ込んだと言っても良いかもしれません。

そして彼は異能の力を自在に使いこなし千尋を助けていきます。

そんな彼の活躍ぶりを見た視聴者はハクはまさに『特別』な存在として印象に残るはずです。

まさにヒーロー的かっこよさと言っても良いでしょう。

そんなかっこいい美少年が主人公・千尋の横に立ったらどうでしょう。

ハクのかっこよさの横では美少女風に描かれていない千尋は『普通』さが際立つでしょう。

出典元:楽天市場「ENS-150-G15 千と千尋の神隠し ハクの塩むすび 150ミニピース

行動力があり率先してさっそうと困っている少女を助ける白面の美少年での横では、鈍臭さがある千尋はどう転んでも『普通の女の子』という印象以上にはならないはずです。

長々と書いてしまいましたが、千尋の『普通の女の子』っぽさが際立たせるために、ハクをあえて異常なほどかっこよくしたと考えられるわけです。

まとめ

さて、今回の記事は千尋が美少女でない理由、そしてハクが美少年である理由などについて書いてきました。

宮崎駿監督は千尋を『普通の女の子』として描くことで子供たちに共感されたいと願っていました。

そのために千尋を美少女として描かず、そしてハクを美少年として描いたわけです。

僕は思うのです。

間違いなく主人公・千尋はリアリティのあるキャラクターであり子供たちに共感されるキャラクターであったはずだと。

映画を見た子供たちは不器用ながらも頑張る千尋の姿を自分と重ね合わせたに違いありません。

宮崎監督は子供たちに勝負を仕掛けたわけですが、僕はこの勝負に宮崎駿監督は勝ったと思っています。

興行収入は308億円という驚異的な数字がその証拠でしょう。

子供たちを意識して、そして子供たちに向けて制作した『千と千尋の神隠し』。

この作品は結果的に子供たちの枠を遥かに超え、幅広い年齢そうに支持され続ける作品となっています。

そうした超人気作品となれたのは、主人公・千尋の功績が大きいものであったと思います。

宮崎駿監督に『ブス』と言われていた千尋。

そんな彼女は『千と千尋の神隠し』における主人公として、『普通の女の子』として多くの人々に成長する美しさを伝えていきたのです。

そしてその『普通の女の子』が、神様であるハクと深い絆で結ばれているというのが感動的なのです。

ハクと千尋の絆については以下の記事で書いています。
⇓    ⇓    ⇓
『ハクと千尋は恋の関係!別れたその後に出会いはある?千と千尋の考察』

まさに千尋はこの作品の主人公に最も相応しいキャラクターだった言えるでしょう。

『千と千尋の神隠し』の他の記事は以下から御覧ください。
⇓    ⇓    ⇓
『ジブリ総選挙で1位獲得!興行収入1位の千と千尋の神隠しまとめ』

他のスタジオジブリ作品については以下のバナーからどうぞ。

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