千と千尋のカオナシの初期設定は橋の上のモブキャラ?!

カオナシは当初は名もなきモブキャラという設定でした。

しかし、彼は宮崎駿監督に『カオナシ』と名付けられ、主要キャラとなります。

そしてカオナシはジブリを救い出す救世主となったのです。

今回もスタジオジブリ宮崎駿監督作品『千と千尋の神隠しに』について書いていきます。

これまで書いてきた『千と千尋の神隠し』の記事は以下からどうぞ。
⇓    ⇓    ⇓
『ジブリ総選挙で1位獲得!興行収入1位の千と千尋の神隠しまとめ』

前回の記事では『千と千尋の神隠し』に登場するキャラクター、カオナシについて書いてきました。
⇒前回の記事はこちら

カオナシは千尋のことばかりつきまとうストーカーキャラとして登場。


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最初は遠くから見ているだけでしたが、その行動はだんだんとエスカレートし、最終的には油屋をメチャメチャにするほどの大暴れをします。

映画後半におけるかなりインパクトのある存在で、かなり重要なキャラと言っても良いです。

さて、そんなインパクトのあるカオナシですが、前回の記事の最後でも書きましたが、カオナシは当初の予定では単なるモブキャラで、名前もない存在だったのだから驚きです。

今回はこのことについて書いていきたいと思います。

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初期設定ではモブキャラだったカオナシが主要キャラに昇格の理由

上にも書いたとおり、当初の予定ではカオナシはただの名もなきモブキャラ=背景キャラだったのです。

背景キャラですから、重要な役割や意味なども何も与えられていなかったわけです。

ではなぜそのモブキャラが『カオナシ』として、ストーリー後半に向けての重要なキャラとなったのかが不思議に思えます。

そもそも、このキャラクターの役回りの大幅な変更は、製作者の宮崎監督の創作欲求によるものではなく、外的要因がその理由となっています。

ただのモブキャラがカオナシとして生まれ変わったのは『千と千尋の神隠し』の製作事情と非常に深く関わっています。

以下、カオナシがなぜモブキャラからメインキャラに昇格したのかについて書いていきますが、『千と千尋の神隠し』の製作の様子から見ていくため、長くなりますことをご了承ください。

製作が難航した『千と千尋の神隠し』

『千と千尋の神隠し』は2001年の7月20日に公開された映画で、爆発的な人気を誇った作品です。

興行収入は300億円を超え、日本歴代興行収入第1位というとんでもない成功を収めていて、日本だけでなく海外でも非常に高く評価されていて、大成功作品と言えます。

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しかも日本歴代興行収入第1位という成績は2016年も変わらずです。

いや、これは本当に凄まじいことなのです。恐るべきスタジオジブリ、恐るべき宮崎駿監督といったとこでしょう。

さてそんな『千と千尋の神隠し』ですが、華やかな興行成績を残したとは裏腹にこの作品の製作はけして順調ではありませんでした。

むしろ映画完成間際までギリギリのギリギリで大騒ぎしながら、苦労の連続の末何とか間に合わせることが出来たのです。

本当に間に合わないんじゃないかっていうくらいバタバタだったそうです。

そんなギリギリな中でこれほどクオリティの高い作品を完成させたわけですから、やはりすごいです。

『普通の女の子』を描くのに苦労した宮崎監督

さて上述したとおり『千と千尋の神隠し』が公開されたのは2001年の7月20日でしたが、その約1年前の2000年4月の段階で、宮崎監督は絵コンテを書きながら行き悩んでいた状態でした。

行き悩んでした理由は『千と千尋の神隠し』がいわゆる普通の女の子を主人公にしたストーリーだからとのことでした。

これまで宮崎監督が手がけてきた作品に出てくる主人公たち、つまりナウシカやシータ、キキ、フィオ、サンなど宮崎アニメに出てくる女の子達は、特別な能力または技術や特技などを持っているキャラクターたちでした。

しかし『千と千尋の神隠し』の主人公、千尋はいたって普通の女の子です。

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これまでの宮崎アニメのヒロインのように特別な能力など何一つ持たなず、それどころかかなり不器用で引っ込み思案なタイプの女の子です。

千尋をなぜそのような普通の女の子にしたかについては、以下の記事で書いています。
⇓    ⇓    ⇓
『宮崎駿が千尋を可愛い美少女にしなかった理由!千と千尋の神隠し考察』

しかし、そうした普通の女の子を描くのが今までの映画とは違っていてストーリーを作るのが非常に大変だったとのことです。

(ちなみに『トトロ』のメイとサツキは一見普通の女の子っぽく見えますが、彼女たちは普通ではないでしょう。なんせお化けに会いたがったり、実際に会って大喜びしてるんですから。その点、千尋は油屋の世界の神々を見て怯えていましたから、いたって普通の感覚でしょう。)

以下に千尋に対しての宮崎監督の言葉を引用します。

グズなんですよね、あの女の子は。[……]何時間あっても映画は進まないんですよ。途中でちょっとグズをやってもらいましたけど、このグズにくっついていく映画ですから、これはイライラしますよね。作ってるほうがイライラするんです。

出典元:宮崎駿『折り返し点 1997〜2008』岩波書店より

という感じで千尋に対してコメントしています。

千尋を主人公としてストーリーを作ることに苦労してたと伝わってきます。

このままだと間に合わない!ストーリーを変えなくちゃ!

ストーリー製作に思い悩んでいた宮崎監督は2000年5月にプロデューサーの鈴木敏夫さんに、現状で思い描いているストーリーの説明をしました。

それを聞いた鈴木さんは、そのストーリーだと3時間以上はかかってしまうと答えました。

もしそれでやるとしたら公開を1年先延ばしにしないと実現不可能だという話になりました。

宮崎監督は、・・・・公開を先延ばしにはしたくない、、そうなると考えたストーリーはボツにして新しく考えなおさなければならない・・・、と悩みます。

ストーリーを変更したいけど・・・・

結局、考えていたストーリーを変更することにしましたが、問題がありました。

このストーリー変更の話が上がったのが2000年5月ですが、既に2月から平行して作画に入っていました。

つまり、この時点で作画が出来上がっている状態だったわけです。
出来上がっている部分はもう変更できません。

既に完成している部分を変えず、後ろのストーリーを変更するためにはどうすれば良いか?

悩みます。

モブキャラを主要キャラに昇格!

さて、悩んでいた宮崎監督ですが、千尋が油屋に向かうため橋を渡っているシーンの作画を眺めていた時に、橋のたもとにお面をつけたキャラが立っているのを見て宮崎監督はひらめきました。

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そうだ、彼を使おう!

彼に千尋のストーカーになってもらえば良いんだ!そうすればストーリーを展開させることが出来る!

宮崎監督は、この立っているだけのお面をつけたモブキャラを今後のストーリーに絡ませる事を思いついたのです。

ちなみにその時のことを鈴木敏夫プロデューサーも語っています。

それで、宮さんが、『覚えている?鈴木さん』っていって、ホワイトボードにカオナシを描いたんです。それで、映画になった今のストーリーをダッと五分でしゃべるんです。

出典元:鈴木敏夫「風に吹かれて」中央公論新社より

宮崎監督はカオナシを主要キャラとしようと思いつくなや、すぐに鈴木プロデューサーにストーリーを話しました。

パっと思いつくと一瞬でストーリーを考えられてしまうのです。

これが宮崎監督の凄まじいところです。

さて、このお面をつけたモブキャラというのが、後にカオナシと名付けられるわけです。

宮崎監督によれば、主人公の千尋は『グズな女の子』とのことです。

『グズな女の子』の千尋では、ストーリーが思うように進まないということで思い悩んでいたわけです。

ですから千尋の代わりにストーリーを展開させるためのキャラが必要だったのです。

その役割に相応しいキャラとして選ばれたのが、カオナシだったというわけです。
そして宮崎監督はカオナシに千尋をストーカーしてもらい大暴れしてもらうことにしたのです。

彼の大暴れのお陰で、ストーリー展開に一気に加速を付けられたということです。

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曖昧であるがゆえ重要な存在

長くなりましたが、以上がカオナシの誕生の経緯となります。

カオナシは始めから考えられていたキャラクターではなく、ストーリーの大幅な変更にあたり急遽必要となりストーリーに絡んできたキャラだったというわけでした。

まさに棚からぼた餅的に誕生したキャラだったとも言えるでしょう。

ほんとに、たまたま橋の所にいたモブキャラの彼が、まさかストーリーに大きく関わってくるなんていったい誰が想像できたでしょうか?

そんな彼が急遽主要キャラクターに昇格し、千尋のストーカーになることで物語の起爆剤としてストーリーに大きく波を付ける役割を担ったわけです。

そしてそのカオナシを、ただ起爆剤として扱っただけではありません。

カオナシという存在を日本人の特性を象徴的に表した人物として描いたことが非常に重要なことだったのではないかと僕は思うのです。
日本人の特性と言うのは、縦横・左右と割り切ることが出来ない、曖昧なものだと思います。

そんな曖昧なものの象徴であるカオナシという存在は、視聴者にある種の謎かけをしていると僕は思うのです。

映画を見た視聴者にとってはカオナシは『なんだかよく分からない存在』という印象を持ったことだと思います。

僕も映画を見終わった時「カオナシって、結局のところ何者なんだろう???」という感じで思いました。

しかし、その『なんだかよく分からない存在』という印象を視聴者に持たせることが『千と千尋の神隠し』には必要だったのだと思います。

そうした印象は、波一つ立たない湖に石を投げ入れ波紋が広がるように、視聴者の心に波紋を広げていったのではないか、と思うのです。

その結果、『千と千尋の神隠し』がよりいっそう魅力的な映画になったのだと思います。

ジブリの救世主となったカオナシ!

当初の予定では上映時間が3時間を超え、公開までの完成は不可能で延期しかないと思われていた『千と千尋の神隠し』を、無事に2時間5分以内に収めることが出来たのは、このカオナシのお陰であるのです。

もしこの作品が公開日までに間に合わなかったら、大変です。

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スタジオジブリの収入の大半は映画の興行収入でまかなっているわけですが、延期にすることで収入も先送りとなってしまいます。

しかも公開延期するということは、制作費がより多くかかるわけです。

下手したら『千と千尋の神隠し』を完成させられない!・・・・なんて事もあり得たかもしれません。

そうなったら興行収入は300億円を超え、日本歴代興行収入第1位という大成功は収められなかったということになります。

日本のみならず世界でも非常に高く評価されている『千と千尋の神隠し』。

この作品はカオナシの存在によって救われたと言っても良いでしょう。

カオナシは『千と千尋の神隠し』における救世主であると同時にスタジオジブリの救世主だと僕は思います。

今回はカオナシの誕生について書いてきました。

次回も『千と千尋の神隠し』について書いていきますね。

次の記事に続きます。

『千と千尋の神隠し』の他の記事は以下から御覧ください。
⇓    ⇓    ⇓
『ジブリ総選挙で1位獲得!興行収入1位の千と千尋の神隠しまとめ』

他のスタジオジブリ作品については以下のバナーからどうぞ。

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