銭婆の性格は優しいが実は怖い?ハクに呪いをかける湯婆婆の姉の正体

さて、今回も引き続きスタジオジブリ宮崎駿作品『千と千尋の神隠し』について書いていきます。

これまで書いてきた『千と千尋の神隠し』の記事は以下からどうぞ。
⇓    ⇓    ⇓
『ジブリ総選挙で1位獲得!興行収入1位の千と千尋の神隠しまとめ』

『千と千尋』は主人公の千尋が油屋の世界に迷い込んだところから始まります。

千尋がたった1人で人間が誰1人いない異世界で過ごすはめになり、数々の困難を乗り越え、最終的に無事に元の世界に戻っていくという話です。

とにかく演出が凄まじく随所で感動するシーンが多々あり、見ていて物凄く惹きこまれるため、『千と千尋』に存在する多少のストーリーの矛盾点など全く気にならないほどです。

特に後半に行けばいくほど、感動的な場面が波のように何回も訪れ、クライマックスの千尋が空を飛ぶシーンではその感動が頂点に達します。

さて、そのクライマックスの直前、つまりストーリーのほとんど終わり近くで、千尋はある人物の元へ向かいその人物と会話します。

恐らくその場面は千と千尋の中でも非常に需要な場面だと思います。

その人物は、銭婆です。

今回は銭婆について書いていこうと思います。

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千尋に対して非常に優しい銭婆

さて、銭婆は湯婆婆の双子の姉です。

外見は湯婆婆そっくりです。

顔がやたらとでかくて二頭身でギャグ体型です。

さて、妹の湯婆婆は見た目は大変面白おかしいのですが、とにかく性格が悪くしかもメチャクチャ恐ろし存在。

怒ると手がつけられなくなるほど魔法で大暴れします。

どのくらいヤバイのかについては以下の記事で書いています。
⇓    ⇓    ⇓
『湯婆婆はドーラっぽいが性格悪い!けど息子の坊には優しい!千と千尋』

それと対照的に姿形がそっくりな銭婆は、湯婆婆とは正反対の性格です。

温和でおっとりしており、物分りがよくてそして親切です。

千尋達が訪ねてきた際は、お茶を出してくれたり千尋の悩みを聞いてあげたり、髪留めを作ってくれた
り、アドバイスをしてくれたり、などなどとにかく優しいのです。

そして行き場のないカオナシを引き取ってくれました。

湯婆婆ではこんなこと考えられません。

100%ありえないでしょう。

映画を見ているの視聴者の皆さんは、あの外見そっくりな湯婆婆の意地悪さを見てきているので、千尋たちに優しく接する銭婆を見て

「なんという優しさ!!銭婆さん最高です!!」

と思わずギャップ萌をしてしまうことでしょう。

そのあまりの優しさに、二頭身のギャグ的な体型の面白さも霞んでしまいます。

特に最後の別れの時の銭婆と千尋とのセリフのやり取りが感動的です

千尋
「おばあちゃん!ありがとう、私行くね!」

銭婆
「大丈夫。あんたならやり遂げるよ。」

千尋
「私の本当の名前は、千尋って言うんです。」

銭婆
「千尋、良い名だね。自分の名前を大事にね。」

千尋
「はい!」

銭婆
「さ、お行き!」

出典元:宮崎駿監督「千と千尋の神隠し」スタジオジブリより

いや、この2人の最後のやり取りはメチャクチャ感動的ですね・・。

特に、銭婆の『自分の名前を大事にね。』のところなんか、かなりやばいです。

あの顔の馬鹿でかいギャグ体型の二頭身キャラのセリフで、ここまで感動できてしまうですからすごいです。

冗談っぽく言っていますけど、本当にすごいと思ってるのです。

とにかく銭婆は千尋に対して優しいのです。

ちなみに、この感動的な別れのシーンの後、ハクと千尋が空を飛び、千尋の呟きによってハクが名前を思い出し、龍の姿から人の姿に変るという、さらなる感動がこの後待っているわけです。(僕が究極的に好きなシーンです。)

その感動については、以下の記事で書いています。
⇓    ⇓    ⇓
『千と千尋のハクの名前の秘密!本名ニギハヤミコハクヌシの由来は?』

本当に感動はまるで波のように押し寄せてくるんですよね、『千と千尋』という映画は・・・。

さて、ちょっと脱線しましたが、このように銭婆は湯婆婆と違ってとても優しいということでした。

銭婆の正体は裏ボスだった?!

さて、優しく親切な銭婆。

しかし銭婆が優しいというのは、後から決まった設定なのでした。

どういう事かといいますと、実は銭婆は当初の予定では裏ボス的な存在だったのです。

鈴木敏夫プロデューサーの言葉を引用します。

これはもう忘れもしないんですけれど、要するに、働かせてくださいって千尋が行くでしょう。で、働くために名前を奪われるところまでの四〇分を描いたときですよ。五月のゴールデンウィークだったんですけど、宮さんから『このあとのストーリーだけど』って相談されたんですね。名前を奪ったの湯婆婆だと。そうしたら千尋は、彼女と戦わなきゃいけない。それで彼女をやっつけることには成功するけれど、さらに強大なる彼女のお姉さん、銭婆がいた。これは一人ではやっつけられないから少年ハクと力を合わせて彼女をやっつけるっていうのを考えた。鈴木さん、どう思うっていわれて、つい僕は顔が曇ったんです。
(中略)
『話を二回立ち上げるから長くなるんじゃないですかね』って。『どのくらいになる?』っていうから、三時間って言ったら、『嫌だよ、三時間も』って。

出典元:鈴木敏夫著「風にふかれて」中央公論新社より

宮崎監督の当初の予定では、銭婆は湯婆婆よりもさらに恐ろしい敵として千尋の前に立ちはだかるということだったのです。

つまり銭婆の元々の正体は裏ボス的な存在だったということです。

なんというか、まるでドラクエみたいな感じです。

『ハーゴンを倒したと思ったら、実はシドーが!!!』とか、『バラモスを倒したのに、ゾーマが!!!』

・・・・・・・
みたいな感じで
   ⇓    
『湯婆婆を倒したのに、銭婆がいたなんて!!・・・・』

・・・・・・・・という感じになるわけですから。

それはそれで、かなり面白そうな展開だと思います。

ジブリで裏ボスなんて初めてじゃないですか・・・・・・・・

ですが、鈴木さんに『それだと映画の時間が3時間になる』と言われ、宮崎監督は『3時間はさすがにない・・』と思い、ストーリーを途中から大幅に変更したのです。

ちなみにその変更にともなって、ただの名も無きモブキャラが、『カオナシ』というキャラクターになって物語の重要人物になるということになりました。

その事について、再び鈴木さんの言葉を引用しますね。

それで宮さんが、『覚えてる?鈴木さん』っていって、ホワイトボードにカオナシを描いたんです。それで、映画になった今のストーリーをダッと五分でしゃべるんです。でね、『さっきのとこれとどっちがいい?』って。答えはすぐいわなきゃいけないんですね。でも、僕、そのとき一瞬ね、走馬灯のようにある考えが浮かんだんですよ。当たるのはカオナシ。

出典元:鈴木敏夫著「風にふかれて」中央公論新社より

上で言ってる『さっきのとこれとどっちがいい?』の『さっきの』というのは、元々の銭婆裏ボスストーリーのことです。

そうではなく銭婆を裏ボスにせず、急遽カオナシを登場させ、物語終盤で大暴れさせるストーリーを宮崎監督は一瞬で思いついて5分で喋ったとのこと。

こうやって、『千と千尋の神隠し』が生まれたのだからすごいのですよね。

ちなみに急遽カオナシが登場することについて、より詳しくは以下の記事で書いています。
⇓    ⇓    ⇓
『千と千尋のカオナシの正体はモブキャラ!初期設定は橋のキャラ?!』

色々と話しが脱線しましたが、銭婆というと上でも書いたとおり、千尋たちにとても優しくしてくれた存在で、それがまさか当初は裏ボスみたいな存在として考えられてたというのはビックリでした。

僕はもちろん今の『千と千尋の神隠し』が大変素晴らしいと思っていますが、銭婆が裏ボスのストーリーも興味があります。

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優しそうに見えて実は怖い銭婆?

さて、ストーリーの変更により、千尋たちにとって優しく温和な性格のおばあちゃんとなった銭婆。

なのですが、僕は完全に銭婆が優しい性格だとも思えないのですよ。

千尋に対しては、たしかにすごく優しく親切でした。

でも本質的に、実は怖い存在だとも思います。

千尋がハクの盗んだはんこを返しに銭婆のところへ行くと決意したときの千尋と釜爺の会話です。

千尋
「釜爺さん、私これ、湯婆婆のおねえさんに返してくる!
返して、謝って、ハクを助けてくれるよう頼んでみる!お姉さんのいるところを教えて!」

釜爺
「銭婆の所へか?あの魔女は怖えーぞ。」

出典元:宮崎駿監督「千と千尋の神隠し」スタジオジブリ

釜爺は銭婆は怖いと言っているのです。

もし銭婆が、温和で優しい性格なだけなら『あの魔女は怖い』なんていうはずがありません。

実は怖い存在だということです。

恐らくその怖さは湯婆婆以上ではないかと、釜爺のセリフのニュアンスから感じました。

釜爺のセリフだけではありません。

実際に銭婆は恐ろしいことをしています。

ラストの優しい銭婆を見ているので、『銭婆=優しい』みたいに思われがちですが、そうではないと思います。

僕が銭婆に対して恐ろしさを感じるのが、魔女の契約印を盗んだハクに対しての仕打ちです。

銭婆のハンコには呪いのまじないがかかっていて、ハクは呪われていました。

その呪いは命を蝕む呪いです。

呪いはとても苦しいはずです。

『もののけ姫』のアシタカも呪いを受けていますが、彼の苦しみを見ていれば、呪いというのがいかに辛いかが想像がつきます。

アシタカ同様、呪いを受けたハクは悶え苦しんでいました。

痛みのあまり、意識を失い大暴れしていたのですから。

銭婆の恐ろしい所は、呪いで悶え苦しんでいるハクに対し、大量の式神で執拗に攻撃を加えていたことです。

式神に攻撃され続けていたハクは、全身傷だらけになっていました。

『絶対に逃がすものか!』という強烈な執念深さを感じます。

その後、銭婆は式神を通して千尋と大怪我のハクの前に現れます。

そして魔法で坊をねずみに、湯バードを小さな鳥に、3つの頭を坊に変えました。

その後の千尋とのセリフを引用します。

銭婆
「ふふふふふふ、このことはナイショだよ。誰かに喋るとおまえの口が裂けるからね。」

千尋
「あなたは誰?」

銭婆
「湯婆婆の双子の姉さ。おまえさんのおかげでここを見物できて面白かったよ。さあ、その竜を渡しな。」

千尋
「ハクをどうするの?!ひどいケガなの!」

銭婆
「そいつは妹の手先の泥棒竜だよ。私の所から大事なハンコを盗みだした。」

千尋
「ハクがそんなことしっこない!優しい人だもん!」

銭婆
「竜はみんな優しいよ、優しくて愚かだ。魔法の力を手に入れようとして妹の弟子になるなんてね。
この若者は欲深な妹のいいなりだ。さあ、そこをどきな。どのみちこの竜はもう助からないよ。ハンコには守りのまじないが掛けてあるからね。盗んだものは死ぬようにと。」

出典元:宮崎監督「千と千尋の神隠し」スタジオジブリ

さて、どうでしょう。

喋り方は湯婆婆よりも遥かに物腰柔らかですが、言っている事はかなり恐ろしくないでしょうか?

ハクにハンコを盗まれて銭婆は怒っているはず。

だから執拗に式神でハクに攻撃を加えたのです。

それなのに、銭婆はハンコを盗んだハクを目の前にして、なぜ冷静で落ち着いていられるのでしょう。

その落ち着き様がかえって怖いのです。

そして淡々と恐ろしいことを次々と言うのですから。

特に千尋に対して言った『お前の口が裂けるからね』というのが怖いですね。

こんな感じで見ていくと、銭婆はかなり怖くそして冷徹です。

この怖いけど落ち着いている感じが、まさに裏ボス的だと僕は思いますね。

こういった銭婆の特徴は、当初宮崎監督が考えていた裏ボス・銭婆の名残なのではないかと思うのですよ。

しかし当初の予定では千尋はこんな恐ろしい銭婆と最後に戦わなくちゃならなかったわけですよ。

どうやって倒すんだ??、という感じです。

鈴木さんの言うとおり、銭婆を倒すまで3時間はかかりそうです。

でも、あえてそのような話も見てみたいと僕は思いますね。

なぜ銭婆は千尋に対して優しかったのか?

さて、このように残酷さと冷酷さを持つ怖い魔女・銭婆。

彼女はどうして訪れてきた千尋に対して優しかったのでしょうか?

さて、ここからは僕の想像で書きます。

銭婆は、千尋の覚悟を感じ取ったのではないかと思うのです。

どういうことか?

千尋は見るからにただの小娘です。

何の能力も持たず、言ってしまえば息を吹きかけてただけで、簡単に吹き飛ばせるくらいの存在です。

この世界では最下層に弱いです。

そんなただの女の子がですよ、たった1人(実際にはカオナシと坊もいましたが)銭婆のところへとやって来たのです。

皆から怖いと恐れられてる銭婆なのにです。

千尋は銭婆に攻撃されて傷だらけのハクを目にしてたのにです。

たった1人で強い意志と決意をもってやって来た千尋を見て銭婆は驚いたのだと思います。

『この子はすごい・・。』、と。

そして、その決意の強さを見て、千尋はどれくらいハクの事を大切に思っているのかも銭婆は感じ取ったのです。

ちなみに千尋がハクをどのくらい大切に思っているのかについては、以下の記事を御覧ください。
⇓    ⇓    ⇓
『ハクと千尋は恋の関係!別れたその後に出会いはある?千と千尋の考察』

銭婆の前にやって来た千尋。

その千尋の言葉は素直でした。

ハクがしてしまった過ちを誠心誠意で謝ってきたのです。

千尋
「銭婆さん、これ、ハクが盗んだものです。お返しに来ました。」

銭婆
「おまえ、これがなんだか知ってるかい?」

千尋
「いえ。でも、とっても大事なものだって。ハクの代わりに謝りに来ました。ごめんなさい!」

銭婆
「おまえ、これを持ってて何ともなかったかい?」

千尋
「え?」

銭婆
「あれ、守りのまじないが消えてるね?」

千尋
「すいません!あのハンコに付いてた変な虫、あたしが踏みつぶしちゃいました!」

出典元:宮崎駿監督「千と千尋の神隠し」スタジオジブリより

千尋は銭婆に対して、ごまかしたり、或いはご機嫌取りのような事はせず、ただただ誠意を持って銭婆に対して答えていました。

銭婆はそんな千尋を見て思ったのです。

『こいつは本物だ・・。』、と。

銭婆は千尋を認めたのです。

だから優しく接したのだと思います。

そして、そんな千尋に着いてきた坊やカオナシの事も認めたのだと思います。

千尋は覚悟を持って銭婆のところへ訪れたのです。

だから銭婆もそんな千尋に対し、精一杯もてなしをしたのです。

僕は、銭婆の千尋への対応が、同じように千尋のことを認めたリンとも近いように思えます。

リンは始めは千尋に対しぶっきらぼうでしたが、途中からは頼りになるお姉さんとして千尋に接していきました。

それはリンが千尋のことを認めたからだと僕は思っています。

その事については以下の記事で書きました。
⇓    ⇓    ⇓
『千と千尋のリンは一人称が俺で男っぽいが優しい性格!正体は白狐?』

銭婆も、誰にも頼らず1人で訪れてきた千尋のことを認めたのです。

そして銭婆は嬉しかったのでしょう。

千尋のような純粋で素直な人間がいるということに。

そして千尋の覚悟と心意気がハクを救うことになります。

銭婆は言いました。

ハクリュウ、あなたのしたことはもう咎めません。そのかわり、その子をしっかり守るんだよ。

出典元:宮崎駿監督「千と千尋の神隠し」スタジオジブリより

あれほど執拗にハクに対して攻撃していた銭婆が、千尋の人間性に触れたことにより、ハクを許してしまうのです。

特別な能力を何も持たない千尋が、相手を大切に思う気持ちだけで起こした奇跡と言っても良いでしょう。

そして、その後、千尋は銭婆と別れ龍のハクにまたがり油屋へと帰っていくわけですが、その途中でハクの名前を思い出すという超重要なシーンが続いていくわけです。

そのシーンについては以下の記事で書いていますので、良かったら御覧ください。
⇓    ⇓    ⇓
『千と千尋のハクの名前の秘密!本名ニギハヤミコハクヌシの由来は?』

今回は銭婆について書いてきました。

『千と千尋の神隠し』については、今後も書いていく予定です。

『千と千尋の神隠し』の他の記事は以下から御覧ください。
⇓    ⇓    ⇓
『ジブリ総選挙で1位獲得!興行収入1位の千と千尋の神隠しまとめ』

他のスタジオジブリ作品については以下のバナーからどうぞ。

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